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街を歩けば至る所で建設現場に遭遇するタイの首都バンコク。数年も経たずに街並みが大きく変化していく。一方で急激な開発に対し、不動産バブルを懸念する声も聞かれる。不動産開発のオフィスビルの現状とは。
近年の経済発展に伴い外国直接投資が増えた結果、年々オフィス需要が高まっている。不動産仲介大手のナイトフランクの調査では、2018年に約33万㎡の新規賃貸が成立しておりタイ史上でも高水準を維持している状況だ。オフィスニーズの高まりに、新規供給が需要に追い付かない状態が続いている。
その背景には2つの理由がある。1つ目は、不動産ディベロッパーが駅近の好立地をコンドミニアム開発のために取得してきた点だ。2つ目は、バンコクの平均オフィス賃料がアジア周辺国の都市と比較した際に割安という点である(図1)。BTS(高架鉄道)の普及と発展につれ、駅近がオフィス選択の重要な要件になってきているが、投資効率の良さからコンドミニアムの開発が優先され、オフィス開発は後回しになっていたのが現状である。
しかし19年1月から施行された融資規制や外国人投資家の減少により不動産ディベロッパーはコンドミニアム開発に慎重になってきており、オフィス開発にも本腰を入れ始めてきた。総合不動産サービスのコリアーズの調査によると、23年にオフィス総床面積が1千万㎡を超える見込みだ(図2)。
2023年までに約98万㎡のオフィス新規供給が予定されており、最新設備を揃えた真新しいビルが姿を現す。不動産財閥TCCによるザ・パークやサムヤンミットタウン、日系ケネディクス社が16年に資本参画したアイラプロパティーによるラチャティウィ駅直結のスプリングタワー、日系不動産大手の三菱地所によるワンシティーセンターなど話題に事欠かない(図3)。中でもザ・パークはLEED(米国非営利団体が運用する環境性能評価システム)ゴールド認証を取得し、各フロアには専用のシャワーブースを設けるなどユーザーの利便性を重視している。グーグルやマイクロソフトなどの米国大手企業は各国の拠点はLEED認証取得ビルに入居することを推奨している。
このように世界基準の施設を揃えた新築ビルが多数供給される中で、築年数が20年を超えるビルは明らかに見劣りしてくる。失業率が低いタイでは、従業員満足度を高め社員の離職を低くすることが経営課題の1つでもある。通勤の利便性と清潔で安全な職場環境が、今後のオフィス選定の重要なポイントになってくるであろう。
今後5~10年の中長期スパンでは、古いビルは新しいビルに対抗するために、建て直しや大幅改修の必要性に迫られる。そのような投資をできない事業者は、市場から信任を得られず撤退となる可能性もある。タイ有力企業や外資企業、投資ファンドなどによって古いビルの買収が活発化する未来が近づいてきているのかもしれない。
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