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2024年第4四半期、バンコクの商業用不動産市場は空室率27%という深刻な供給過多に直面している。この空室の急増により、前例のない賃料の値下げが発生し、テナントの確保をめぐって貸主間の競争が激化している。
Cushman & Wakefield Thailandのオフィスリース部門責任者によれば、この傾向は2025年も続く見通しであり、今後2~3年の間にCBD(セントラル・ビジネス・ディストリクト)中心に72万5,000平方メートルの新規オフィス供給が予定されている。
2025年のオフィス稼働率予測:72.2%(2019年の77%から低下、2012年のピーク95%からは大幅減)
平均賃料:2020〜2022年は1,100バーツ/㎡/月で安定していたが、2025年には約950バーツ/㎡/月まで下落する見通し
業界アナリストによれば、オフィス需要の減少はコロナ以降に加速した柔軟な働き方(ハイブリッド勤務・リモートワーク)の浸透が主因とされている。多くの企業がオフィススペースを縮小しており、以下のような大手外資系企業も例外ではない。
Microsoft:2,000㎡ → 1,500㎡に縮小
IBM:7,500㎡ → 3,500㎡に半減
Ericsson:3,700㎡ → 2,000㎡に減少
供給過剰と激しい競争により、新築物件では最大30%の賃料割引が提示されており、これはコロナ前の10〜15%割引を大きく上回る。
一方、築古物件では直接値下げではなく、6〜7カ月の家賃フリーレントを提供することでテナント誘致を図っている。
また、バンコク内でも地域差が顕著になっており、
バンナー、ラムカムヘン地区:賃料400〜500バーツ/㎡/月
パヤタイ〜ウィパワディ地区:賃料600〜800バーツ/㎡/月、空室率は一部で30%以上
といった低価格帯が散見される。
バンコクのオフィス市場は緩やかな回復が見込まれている。専門家によれば、今後は供給量の適正管理が進められ、2030年までに需給バランスの回復(市場の均衡)が期待されている。
Source:
https://www.nationthailand.com/business/property/40046847
https://www.knightfrank.co.th/research/bangkok-office-market-q4-2024-12006.aspx